
釉薬の本(11)
8. チタニウム白釉 / titan blanc / 1230~1280℃
Feldspath Potassique 43% / カリ長石
Kaolin 8% / カオリン
Carbonate de chaux 20% / 炭酸カルシウム
Quartz 29% / 珪石
+Dioxyde de titan 8% / 二酸化チタニウム
石灰透明釉に8~10%二酸化チタニウムを入れて白濁させた釉薬です。流れやすいため、珪石とカオリンの調合比を変えてあります。
1230℃では絹のような光沢で真っ白になり、白の好きなフランス人には好評です。因みに白色は光の屈折で起こるものです。
この釉薬は色化粧や下絵の上に掛けると、発色が変わってしまい注意が必要です。
また、パリ陶芸教室では重ね掛けによく使います。
酸化鉄の入った釉薬に重ねると、大小の白い網目状の模様や流れが現れます。
お皿などの平たいものに飴釉や天目を掛け、その上にチタニウム釉をベタベタに重ねると、アメーバーのようなグロテスクな模様が出て、生徒たちは喜んでいます。フランス人には単色の部分を残して重なった部分を楽しむという感覚がなく、器のうちも外もべったり重ねて、とても汚らしく、私はいつも情けない思いをしながら「いいね」しています。
因みに、パリ陶芸教室の生徒約100人のオリジナル(人種の違い/国籍は皆フランス人です)を聞いてみると、現在14カ国にわたり、みんなそれぞれの特徴と嗜好が大きく違います。そして陶芸に関しては、ゆがんだり壊れたものを愛でるという日本人の嗜好が、かなり特殊なものだと日ごろから痛感しています。幸いなことに日本の美や嗜好については、みんなが深い興味と関心を持っていて、備前焼作家の澁田さんや的野さんのワークショップはいつも定員オーバーです。(生徒からのとんでもない質問に答えるのに皆さん四苦八苦しています)
写真
(上)鉄赤結晶釉+チタニウム白釉/
Fer Rouge christalisé+Titan Blanc
(下)黒タルクマット釉+チタニウム白釉/
Noir Talc Mat+ Titan Blanc