


釉薬の本 (29)
(6)亜鉛結晶翡翠釉をブルゴーニュ産黄土(Moutier)に掛けてみました。
この土は信楽赤土よりも鉄分が少なく、黄土色をしています。焼成温度も1240~1260℃と低めで、藁を巻き付けて電気窯でも、きれいな緋襷が出ます。
フランスで入手できる土は、ファイアンス(Faïence/1000℃)陶土(Gres/1280℃)磁器土(Porcelaine/1280~1320℃)の3種類です。
先回の釉薬の本(28)では、同じ亜鉛結晶翡翠釉を磁器に掛けたのですが、見事に流れて鉢底に溜まってしまいました。
ブルゴーニュの黄土で試しましたが、やはり流れて底に溜まり、結晶も出現しません。がっかりしましたが、翡翠色が胎土の鉄分と混じって深い緑となり、周りの流れるような結晶と縁部の青色が美しいハーモニーを醸し出しています。結晶釉としては失敗ですが、けがの功名で喜んでいます。
重複しますが、もう一度レシピを記載しておきます。
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亜鉛結晶翡翠釉
フリッツベース
フリッツ Ferro 3110 59.0% Fritte Ferro 3110
亜鉛華 24.5% Oyde de Zinc
カオリン 0.5% Kaolin
珪石 16.0% Quartz
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100.0%
+ 0.5% 酸化銅 Oxyde de Cuivre
+ 4% ルチル Rutile
施釉
CMCを加えて2度掛けし乾燥させる。
結晶釉はものすごく流れるため、外側は、磁器土の白さを生かして透明釉を掛ける。
翌日、「亜鉛華70%+珪石30%」をスプレーで薄くかける。「亜鉛華+珪石」がかかった部分に結晶が出る。
焼成曲線(焼成15時間)
20℃~500℃ 100℃/時
500℃~1250℃ 150℃/時
1250℃ 30分保温
1250℃~1140℃ 自然に温度を下げる
1140℃ 4時間保温
1140℃~100℃ 自然に下げる
ゼーゲル式
0.30 KNaO
0.14 CaO
0.57 ZnO
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0.04 Al2O3
1.81 SiO2